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 マル、マル、バツ、マル、バツ、バツ、……。
 半分まできたところで溜息をつく。
 このペースだと、6割といったところだろうか。5割を割らなければいいけど、と思う辺りもう駄目だ。
 今日は第二回センター模試があった。その場で自己採点をして点数を提出しなければ帰れないので、皆さっさと終わらせようと答案と向かい合っている。
 既に5教科採点し終わっている瑞穂は最初に数学UBを採点して大いに落ち込んだ。38点。文系だからといって許される数字ではないだろう。しかも周りが言うには割と楽だったと言うのだから。TAはまあまあだった。得意教科だけあって、何とか8割いった。生物も8割はいった。他は7割前後で、現在採点中の世界史は6割いくかどうかといったペース。最後は気分直しに国語を残してあるが、古文漢文ができても現代文の方が危うかった。
 前回のセンター模試の結果はD判定。得点率は68%。第一志望は俗に言う中堅大学だが、瑞穂の希望する文学部古代文学専攻は競争率が高く、8割は取らないとB判定が出ないという見事なあべこべっぷりだ。
 先日前回の模試の結果が返ってきて落ち込んだばかりだというのに、すぐに第2回の模試があって落ち込む羽目になるのだから現実は冷たい。これが受験生だと言われても辛いものは辛いのだ。
 世界史はギリギリ60点。今回は勉強したところが出たから良かったものの、前回は49点という悲惨な点数だった。でも6割とっても平均にはきっと届いていない。ああ、これだから苦手教科は。苦手教科だけじゃない、英語はまだ時間配分がうまくできないし、現代文は時間がかかってしまう。
 まだ6月。
 でもあと半年でこれをどうにかできるものなのか。
 評論文が36点、小説が40点。古文が45点で漢文が47点だ。計168点。8割を超えたから良しという問題でもない。全体では72%。教科ごとの差が激しすぎる。
 またD判定は決定したようなものだ。
 採点用紙を提出して塾を出る。一日中教室に箱詰めにされていたから、心地良い開放感に包まれる。時間は7時。今日の夕飯は母が作ってくれている。
 本当に最近は憂鬱なことばかり。
 球技大会のこととか、模試のこととか。
 どうしてこう気が滅入るようなことばかりあるんだろう。
 それにしても良臣が数学UB38点なんて知ったら怒るに違いない、と瑞穂は溜息をつく。勿論言う気はない。言う気はないが、日頃教わっている身としては申し訳ないやら情けないやらで、今日帰って顔を合わせるのも気兼ねしてしまう。
 ちょっとずつ、わかってきてると思ってたんだけどなあ。
 良臣に一度教わったところは絶対に解けるように復習を繰り返して。間違っても「お前、この間それ教えただろ」なんて言われないように。それなのに、これなんて。
 もうそろそろ夏期講習の申し込みが始まるが、数学のクラス設定をどうするかという問題も待ち構えていたりして。
 悩みは尽きない。
 優先順位をつけるとするならば、来週に控えている実力テストだろうか。
 範囲なんて決まってないから自分の苦手なところから補強していくしかない。得意教科なら構わないが、苦手教科だと収集がつかない。まさか良臣にヤマを張って下さいとは言えないし。
 世界史はこの間光二からノートを借りて整理し直した。光二はテニスの件を心配していて、ちょっと今は付き合いにくいと思う時がある。口で言わなくても態度で伝わるものだから。光二の場合、余計に。それでも茜や宏樹には詳しい話をしていないようで、その辺の気遣いは有難いと思う。保護者がこれ以上増えるのはごめんだ。勿論、光二のことを保護者と思っているわけではないが、今の光二はそれに近いものがある。
 そう言えば、お母さんにもまだ言ってないな。
 別に言う必要はない。
 球技大会のテニスなんて大したことないんだから。
 そんなことをいちいち両親に言わなくてもいい。余分な心配をかけたくない。
「なんだかんだで、一番は……」
 一番の問題はやっぱり球技大会のようだ。
 自覚して、肩を落とす。
 勉強しよう。
 実力テストに向けて。実力テストが終わったら期末テストと次の模試に向けて。
 他のことに打ち込もう。
 どうせ来る時は来るんだから。
 瑞穂はひたすら自分に言い聞かせた。
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